入れ歯
入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯の2種類があります。
それぞれに設計が必要です。
え・・・入れ歯に設計があるの?と思われる方も多いのではないでしょうか。どんなバネを歯に架けるか・・・どんな歯並びにするか・・・このことは、理論に基づいた経験がすべてを左右します。
ところが、歯医者は型をとるだけ・・・あとは技工士が作るから・・・こんな先生が少なくありません。歯科学生の時に作っただけで、設計の経験のない先生が多いのが実情です。
そこには、こんな理由があります。
卒業後にそこまで勉強に手が回らなかった・・・他の分野の専門の修行を行い、入れ歯は苦手だ・・・入れ歯よりインプラントだ・・・。
歯科のような狭い分野でこんなことはおかしいと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、現実には卒業後に開業医に勤めるか大学の研究室で修行を積むか選択しなければなりません。勤めれば、勤め先の方針に従い細かな修行は不可能だと思います。大学に残れば徹底的に細かなところからの修行は可能ですが、無給です。けっこうシビアな選択だと思います。
私は長年、大学病院に在籍していましたが自信を持って治療や教育ができるようになるまで4~5年かかっています。
私の経験だと、2~3年ぐらいで一通りできるようになった気がする時期がきます。しかし、実際には気がしたたけで、たいしたことはできません。このままにしておくと「自分はできる!」と勘違いします。この勘違いを正してくれる人が必要なのです。私の場合は、医局の達人たちのおかげで勘違いせずに修行に打ち込めました。
医師は現在不足しているといわれています。ですから専門分野に深い先生よりも「広く浅く」の見識から診療する先生を求めています。歯科医はほとんどが開業医です。したがって、「広く浅く」の見識の先生が多いと思います。ですから、医師とは逆に狭く深い見識が必要なのではないかと考えております。自分の得意分野を持っていて治療に携わるほうが治療を受ける方も安心できると思います。
今まで、大学病院や自分の診療室で受けた
入れ歯についての相談事を紹介しましょう。
●こんな相談を受けました
入れ歯が合わなくなり作り直してもらおうと歯科に行ったら「歯ぐき(どて)がなくなっているから、健康保険では咬める入れ歯はつくれない」と言われましたが本当ですか?
うそです
この方は、総入れ歯でしたが、健康保険で作った入れ歯をお使いになっています。健康保険で作れないならばどんな方法でも無理です。特に、歯ぐきが減ってしまった場合、健康保険の入れ歯のほうが、後の調整がしやすく修理も簡単にできます。
●こんな相談も受けました
入れ歯を作ったばかりですが、痛いので調整しに行ったら「慣れれば痛くなくなりますから、我慢してください」と言われて我慢しています。ずいぶん経ちますが良くなりません。このままで治りますか?
治りません
このような痛みを我慢しろとは論外です。
痛みの原因は取り除かなければ治りません。
私は、大学病院時代に入れ歯を自分で作ってきた経験や、総入れ歯 の名人が作ったものなど、たくさん の入れ歯に携わりましたが調整がなく終わったものは一つもありません。
痛みがなくても調整が必要です。入れ歯は 完成してからが勝負です。製作の過程で必ず変形します。この変形により起こ る問題を調整によって解決します。
ただし、入れ歯の違和感は入れていなければ慣れません。
入れ歯は、義手や義足と同じで、体の一部として扱えるよう になるまで、時間がかかります。
●よく言われることです
入れ歯は小さいほうがいいの?
口や舌の動きを妨げない大きさ(おそらく皆さんにとっては大きいと考える大きさ)が良いものです。
桜田歯科で作る入れ歯は(特に総入れ歯)、他医院で作るものより大きいと思 います。
皆さんは、小さい入れ歯のほうがいいものだと思っていませんか。
大きすぎる入れ歯は、よくないです。しかし、小さい入れ歯もよくないです。
小さいものは、安定感がなく、歯ぐきにくい込みやすいため、入れ歯安定剤な どを使用しなければならなくなることがあります。
ところが、ある程度の大きさを持ったものは外れにくく、安定感も良いために安定剤などは不要です。
桜田歯科では、大学病院と同じ方法を用いて入れ歯を作成します。特殊な型どりを行う関係上、来院回数が多くなりますが健康保険で作れます。歯科医側に手間が増えるだけで普通に入れ歯をつくるのと同じ金額で作れます。
1回目
簡単な型どり
→この型から精密に型をとる道具を作ります。
2回目
精密な型どり
→筋形成と言いまして、舌や頬の動きを型をとる道具に再現します。
3回目
高さを測る
→精密な模型から高さを測る道具を作り入れ歯の高さを決めます。
4回目
歯並びを合わせる
→仮の歯並びで、実際に口の中に入れて確かめます。
5回目
入れ歯の装着・調整
→入れ歯の完成 様々な調整を行い入れ歯を装着します。
実は、入れ歯にとって大切なのはここからです。完成後の調整のためにしばらく来院していただく必要があります。
今まで小さな入れ歯をお使いの方は慣れるまで大変かもしれません。
しかし、精密な型どり(筋形成)を行っているため、極端に長すぎたり短すぎることはありません。
●新しい情報だけど・・・
歯ぐきにあたるとこが軟らかい入れ歯があると聞きましたが?
人工の歯や口から見える部分は従来のレジン(プラスチック)で、できており歯ぐきにの部分だけ軟らか材質でできている入れ歯があります。
利点
痛みはほとんど感じません。
調整に時間がかからずになじみます。
欠点
保険では作れません。
軟らかい材料に耐久性がないため、長持ちしません。
修理が困難です。
※個人的な意見としては、あまりお勧めできません。値段が高い割に長持ちしないことや、軟らかい材料が歯ぐきに与える影響に疑問が残ります。
●皆さんが願う入れ歯の構造
バネがまったくない入れ歯があるそうですが?
いくつかの種類があります。すべてのものが保険では作れません。
また、問題点もあります。
バルブラスト
弾力のあるプラスチックを使った入れ歯で残った歯と歯の間に入り込む
ようにできています。
利点
装着感は良好です
欠点
歯ぐきの状態が悪い場合(歯周病)は使えません。
歯の残り具合によっては使えません。
修理が困難です。
アタッチメント コーヌス
残った歯を加工してそこに入れ歯を装着するものです。
利点
きっちり入り、感触は抜群です。
欠点
残った歯の状態(歯周病)が悪ければ使えません。
歯の加工が必要であるため、歯の神経をとる必要があります。
かなりの高額になります。
修理が困難です。
※歯科医と技工士、それぞれに高い技術が必要となるため、皆さんの判断 が難しいと思います。
スウイングロック
バネが存在しますが、歯を下から支えるためにほとんど見えません。扉 の開閉を応用しているために装着時に外れる心配がありません。
利点
歯ぐきの状態が悪い場合(歯周病)も使えます。
※個人的に大好きな入れ歯です。
欠点
外して見るとグロテスクです。着脱にコツがいります。
正直言いますと・・・
私の回答は肯定より否定が多いと思います。
これは、どの歯科のホームページを見ても「最新の治療法」と書かれており長所しか書かれていません。どんなに技術や材料が進歩しても欠点がないものなどありえません。マスコミも浅い調査で視聴者の受けの良い内容しか放映せず、情報が混乱しています。ですから、あえて否定の多い内容になっています。
最新=良いもの・・・高価=長持ち・・・こんな風に思っていませんか?
最新で高価なものが、2~3年しかもたなかったらどう思いますか?
最新で高価なものが、修理もできず作り直さなければならなくなったら、どう考えますか?
歯科医は、皆さん方の利益と不利益についてよく説明する義務があると思います。結論を急がずにゆっくりと考えてください。
現状で最善をつくすことが医療だと思います。








